ダニについて ダニによるアレルギー

マダニの感染症と対策方法!噛まれたら取り方を間違えると大変な事に

マダニの感染症と対策方法!噛まれたら取り方を間違えると大変な事に

夏が近づくとマダニに噛まれた影響で死亡者が出てしまうニュースが出てくるようになります。マダニに噛まれると、現在では対処法のない感染症を発症してしまう事から、大変怖いダニです。

だからといって、マダニに噛まれてしまっても慌てる事はありません。正確な対処法を知っておけば、マダニもそこまで怖いダニではありません。

それではこのページではマダニの感染症の事や対策方法、マダニに噛まれてしまった時の正しいマダニの取り方などの対処法を紹介していきます。

マダニによる感染症

マダニは体調2.5ミリ~10ミリ(吸血時)にもなる大型のダニで、ダニ媒介性感染症を引き起こす最も代表的なダニです。魚類以外の様々な生物に寄生し、ペットに寄生したり、登山やアウトドアなどで野外に出た時に寄生されたりなど、人に近づいてきます。

人の血を吸うと、大きさが3倍近くも膨れ上がり、他のダニと比べてもかなり大きくなります。チリダニやツメダニは0.4ミリ程度なのに対して、吸血時のマダニは10ミリになったりするので、その大きさの違いは歴然ですね。

日本紅斑熱

かゆみのない発疹や発熱などの症状が出た時点で、点滴と抗生物質の投与などの治療を受ければ大事には至らないですが、受けないと最終的には高熱を発して昏倒に至ることがあります。咬傷が見当たらなくても、医師に、(マダニと接触した可能性がある)キャンプやハイキングなどに行ったと伝えておけば、診断しやすくなります。

Q熱

治療が遅れると死に至るうえ、一度でも重症化すると治っても予後は良くないです。山などに行った後、皮膚などに違和感を覚えたり、風邪のような症状を覚えたりしたら、この病気を疑うべきです。日本紅斑熱の場合と同じく、キャンプやハイキングなどに行った後に何らかの症状が出た場合は医師に伝えることが推奨されます。

ライム病

ノネズミやシカ、野鳥などを保菌動物とし、マダニ科マダニ属 Ixodes ricinus 群のマダニに媒介されるスピロヘータの一種、ライム病ボレリアの感染によって引き起こされる人獣共通感染症の一つです。

回帰熱

ヒメダニ属、マダニ属に媒介されるスピロヘータ科の回帰熱ボレリアによって引き起こされる感染症。発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この名がつけられました。1950年以降は日本での国内感染が報告されていませんでしたが、2013年に国立感染症研究所でライム病が疑われた患者血清800検体の後ろ向き疫学検討を行ったところ、回帰熱ボレリアの一種であるB.miyamotoiのDNAが確認されました。

ダニ媒介性脳炎

マダニ属のマダニが媒介するウイルス性感染症。ヨーロッパ亜型、シベリア亜型、極東亜型の3亜型に分類されます。脳炎による神経症状が特徴的。東ヨーロッパやロシアで流行がみられ、日本では北海道で2019年までに5例の国内感染例が報告されており、死亡例や重篤な後遺症が認められています。

重症熱性血小板減少症候群

SFTSウイルスの感染によって引き起こされる感染症で、本症候群に起因する死亡事例が2013年に国内で初めて発表されました。症状は1週間から2週間の潜伏期間を経て発熱、嘔吐、下痢などが現れます。重症患者は、血球貪食症候群を伴って出血傾向を呈す例が多いです。西日本では、96人が感染して発熱や出血などの症状を訴えた後に30人が死亡しているため、2014年2月25日には田村憲久厚生労働大臣が「草木の多い所に入る時は、肌をなるべく出さないように」と注意を呼びかけました。

オズウイルス

オズウイルスはオルソミクソウイルス科トゴトウイルス属に属するウイルスです。このウイルスが見つかったのは比較的最近のことであり、2018年に愛媛県のタカサゴキララマダニというマダニからオズウイルスが見つかったことが報告されています。

マダニの予防対策

できるだけ草むらに入らない、長袖長ズボンを着用、山では草に直接座らない、虫除けスプレーを使用する、帰宅後すぐ着替え入浴するなどが望ましいです。

マダニに吸血された時の対処法

マダニは刺されるというか、喰いつかれるという方が正しいかもしれません。そして血を吸血鬼のように吸ってきます。

このマダニに喰いつかれてしまった時、もっとも大切な対処としては、できるだけ早く除去する事です。ご紹介している通り、マダニは様々な感染症を媒介します。

こうした感染症の病原体は、人の体内へすぐに侵入するわけではないそうです。病原体の種類によっては時間は異なるそうですが、マダニが皮膚に喰いついてからある程度時間が必要です。ライム病の場合なら、48時間必要なのだそうです。

つまり、マダニに喰いつかれても早く除去すれば、それだけ感染のリスクを減らす事ができます。

また、マダニに喰いつかれてから時間が経つと、マダニの唾液腺から分泌されるセメント物質により、マダニ口器が皮膚へかなり強く固着するそうです。こうなってしまうと、除去はかなり難しいです。

マダニは自分で取り除いても良いの?

マダニの知識として、もし喰いつかれたら自分で取り除くのではなく、医療機関で除去してもらうように推奨されている・・・というのはご存じかと思います。

こういった推奨は、自分で除去する時に失敗して、マダニの口器がちぎれて皮膚の中に残る事を危惧してだと思われます。しかし、マダニ全般の幼若虫は口器が短いため、一般の私たちが自分で除去することもそう難しい事ではないそうです。

SFTSや日本紅班熱などの危険な感染症のことを考えたら、少しでも早くマダニを除去した方が感染リスクを減らす事ができます。

つまり、もしできるのであれば、自分たちでマダニを除去しても良いのです。しかし、自分で除去は怖い・・・という場合はすぐに医療機関に行く事をおすすめします。外科的に除去してもらう事がおすすめです!

もし自分での除去を試みる場合は、無理矢理引きちぎるのではなく、ピンセットなどを使って、喰いついたマダニ個体の根本部分を挟み、左右に何度か回転させたり、虫体を裏返したり元に戻したりを繰り返し、皮膚の中に挿入されたマダニ口器がちぎれないように慎重に引き抜く事です。なかなか難しいです・・・。

もしマダニ口器が皮膚内に残ってしまうと、痒さが長期間続く場合があるそうです。自分でマダニを除去した後も痒さが続くようなら、マダニ口器が皮膚の中に残っている可能性も考えられるので、皮膚科に診てもらいましょう。

マダニ除去の余談

皮膚に喰いついたマダニ個体の上にワセリンなどを厚く塗ることによって、30分程度でマダニ個体が外れやすくなる事もあるそうです。ワセリンに限らず軟膏やバターなど油脂性成分のものなら同様の効果を得られるのだとか・・・。

ただし、このワセリン除去法は、マダニに喰いつかれてから早めに行えば効果が期待出来る方法であり、時間が経ってしまうと、皮膚へかなり強く固着してしまうため、ワセリンなどで除去するのは難しくなってきてしまうそうです。

ちなみに、マダニの成虫に喰いつかれてしまったら、それは自力で除去するのはかなり困難なのだそうです。
仮に喰いつかれてから24時間以上経ってしまうと、本当にびくともしなくなってしまうため、医療機関で外科的処置をしてもらう必要があるそうです。

マダニが喰いついた周辺の皮膚を局所麻酔をかけ、メスで取り除く事になります。
これも聞いているだけで痛い、シビアな除去法ではありますが、喰いつかれた患部周辺の皮膚ごと取り除くので、感染のリスクはかなり減るそうです。

また、マダニに喰いつかれてから2週間以内に発熱、頭痛、発疹等の症状が出た場合は、マダニ媒介感染症の可能性があるので、速やかに医療機関に受診するようにしましょう。

この時、自分でマダニを除去したのであれば、除去したマダニは捨てずに受診する際に持って行く必要があります。
感染症の診断は難しいのですが、喰いついたマダニ個体の種名が解れば、診断のヒントになるそうです!

マダニを甘く見ちゃいけない!マダニに喰いつかれたら医療機関へ!

マダニの感染症と対策方法!噛まれたら取り方を間違えると大変な事に

ご紹介した通り、マダニに喰いつかれたら自分で除去する手段もあるにはありますが、早めに医療機関に行くようにしましょう。その際に行くのは、皮膚科か外科です!

夏の時期、お盆などもあり医療機関が休診の事もあるので、お盆でも診てもらえる医療機関を調べておくのも大切な事かもしれませんね。

自宅に居るだけであれば、マダニと接触する事もなく問題ないかもしれませんが、登山をする際や、林が近い公園などに出かける際はチェックしておいて損はないと思います。

もしかしたらご近所の公園にマダニがいるかもしれませんよ?そういったリスクは常に頭の片隅に置いておきましょう!

2023年はマダニ感染症が過去最悪ペース

感染症法で「4類」に分類され、医師に診断の報告が義務付けられるマダニ媒介感染症6種の患者数が2023年、過去最悪のペースで増えていることが分かりました。
国立感染症研究所が都道府県の患者数を1週単位で記録する「感染症発生動向調査」を基に集計したところ、26週目に当たる7月2日時点で243人に達しました。

患者数増加の背景には、地球温暖化でマダニを運ぶ鹿やイノシシの分布拡大が指摘されており、野生動物が活発化するこれからの季節は一層の警戒が必要です。

集計によると、年間の患者数が最悪だった2021年26週より4人多くなっています。感染症ごとの患者数の傾向はほぼ同じ。日本紅斑熱が144人、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)83人と双方で全体の9割を占める一方、ライム病6人、回帰熱10人となっています。

都道府県別の患者数は、日本紅斑熱の最多が広島の30人で、三重17人、熊本10人、和歌山9人と続く。SFTSは山口・宮崎が各10人、長崎9人、高知・大分各7人などいずれも西日本に集中しています。一方、ライム病と回帰熱は北海道が最も多く、それぞれ3人、10人と全国の大半を占めています。

日本紅斑熱、SFTSの増加顕著

感染研が6種の記録を始めた13年以降、患者数は増加傾向にあります。過去最多の21年は633人、22年617人で、10年で倍増。日本紅斑熱とSFTSの患者の増加は顕著で、患者数全体を押し上げています。ライム病と回帰熱は年間10~20人台で推移。ダニ媒介脳炎は18年以降、野兎(やと)病は15年以降、患者は確認されていません。

一方、近年はマダニ媒介の新しい感染症も出現しています。20年に見つかった「エゾウイルス」は北海道で7人が感染し、22年は「オズウイルス」に感染した茨城の70代女性が死亡しました。患者が確認されていないマダニ感染症は、まだ10種類以上あります。

患者数増加について、環境省鳥獣保護管理室は

「マダニを運ぶ鹿やイノシシの生息域が、地球温暖化に伴う積雪の減少で広がっているためではないか」

と指摘しています。その上で「耕作放棄地の増加で人間の生活域にも近づいている」として感染対策の徹底を求めています。

マダニは刺されたからといってすぐに発病するものでもないので、マダニに刺されているのを発見したら、自分で肌に刺さったマダニを取ろうとせずに、皮膚科や外科にて適切な処置をしてもらう事を心がけましょう。

静岡県内で2023年5例目の日本紅斑熱への感染者を確認

静岡県は今年に入り県内5例目となるマダニが媒介する感染症「日本紅斑熱」への感染者が確認されたと発表しました。日本紅斑熱への感染が確認されたのは、西部保健所管内在住の50代の男性です。

男性は7月17日から発熱、発疹などの症状があり、その後検査を行ったところ、日本紅斑熱の病原体遺伝子が検出され、感染が判明したということです。県によりますと、男性はマダニに咬まれた自覚はありませんでしたが、自宅の庭で作業をしていたことから、マダニに咬まれたことで感染したと推定されるということです。

男性は現在も入院中ですが快方に向かっています。県内で日本紅斑熱への感染が確認されるのは今年に入り5例目です。県は、春から秋にかけてはマダニの活動が盛んになる時期だとして引き続き、野山や畑等の屋外でマダニに咬まれないよう注意を呼び掛けています。

マダニにかまれて肉アレルギーに!? 米国で急増

米国疾病対策センター(CDC)が2023年7月28日付けで発表した最新の研究によると、米国では2010年以降、マダニにかまれたことで肉アレルギーを発症したと疑われる症例が大幅に増えているそうです。しかも症例のいくつかは、このマダニが少ないとされている州で発生しているという事です。

マダニにかまれると、なぜ肉アレルギーになるのでしょうか?

「あなたは森を散策し、マダニはウシやその他の哺乳類の血を吸っています」と米国テネシー州にあるバンダービルト大学附属病院のアレルギーと免疫の専門医コスビー・ストーン氏は説明を始めた。「そうやってアルファガルを持ったマダニにかまれると免疫が活性化します」

アルファガル(α-Gal)と聞くと何か得体の知れないもののような印象だが、これは糖の一種である「ガラクトース-アルファ-1,3-ガラクトース」の通称です。マダニにかまれてアルファガルが人の体に入ると、免疫系がアルファガルに対する抗体を作り、その後、アルファガルを戦うべき敵と見なすようになります。

これがアルファガル症候群で、多くの場合、この病に気付くのはアルファガルが豊富に含まれた獣肉を食べたあとです。なお、安定剤としてゼラチンが添加されている一部の医薬品にもアルファガルは含まれています。

症状について

「肉を食べてもアレルギー反応はすぐには出ません」とストーン氏は言う。そのため自分の症状がアレルギー反応によるものだということに気付かない人もいるそうです。

「アルファガルが放出されるには、まず肉が消化されなければなりません。ですから食事から数時間後の就寝中にじんましんや息切れ、嘔吐、下痢といった症状で目が覚める人が多いのです」

「中には死の危険が迫るほど血圧が低下し、生命維持装置が必要になる患者もいます」と治療に当たった経験のあるストーン氏は言う。

「最初は何の病だか分からない患者がほとんどです」とストーン氏は説明する。食べた物と症状は何度かアレルギー反応を繰り返してようやく結び付きます。マダニに繰り返しかまれてアレルギー症状が悪化することもあります。重い症状が出るのは何度もかまれた経験があり抗体の量が多い人です。

アレルギーの治療としては今のところ症状を緩和するだけで、アレルギーそのものを治したり、ワクチンで予防したりすることはできない。

どのぐらい増えているのか

アルファガル症候群は元々米国南東部で多かった病だが、温暖化の影響でこれまでより北や西の地域でも頻繁に見られるようになるかもしれません。

CDCはアルファガル症候群の記録を取っていないため、アルファガル症候群と疑わしき症例が増加しているというこれまでの報告は裏付けに乏しかった。しかし今回発表された研究では、この抗体の検査について、米国のほぼすべての検査に対して責任を負う研究所の結果を調べました。そしてアルファガル症候群に陽性反応が出た人の数は2017年から2021年の5年間で、1年あたり1万3371人から1万8885人に急増していることが明らかになりました。

アルファガル症候群が初めて確認されたのは10年ほど前。それまでは肉アレルギーの原因についてほとんど分かっていませんでした。

「アルファガルへの認識は高まっています」とストーン氏は指摘する。「アレルギー疾患全般が増えているので、アルファガルへの反応も強くなっている可能性もあります」

温暖化によって花粉など植物由来のアレルゲンによって引き起こされるアレルギーが増えていることが研究から分かっています。

また環境衛生の向上から人間に本来備わっている免疫力が低下しアレルギーを発症しやすくなっているかもしれないとストーン氏は考えている。

米国の非営利団体「アレルギーと喘息ネットワーク」のパルビ・パリーク氏は米USAトゥデイ紙とのインタビューの中で、マダニの生息地が温暖化の影響でこれまでより北へと広がっていると警告しています。

いずれにせよ暑い季節はマダニにかまれる機会が多いです。ストーン氏はマダニが媒介する感染症と同様、アルファガルにも注意を払うべきだと言う。それには虫よけスプレーを使ったり、防虫素材でできた服を着たり、背の高い草や低木が生い茂る場所を避けたりすることです。

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チリダニによるハウスダストアレルギーの鼻炎に悩み、ツメダニにも襲われるようになりダニ退治に本格的に乗り出してはや数年。ダニをどうすれば退治できるのか、どんな対策が一番良いのか、私ならではの方法を紹介します!

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